不機嫌な君
優しい微笑みに、こちらも少し、ホッとした。

「…また、どっか行こうか」
「…え?」

「…今度は、2人で」
「あ…えっと」

なぜか直ぐに頷けない自分がいて驚く。
悠斗さんは優しいし、カッコいいし、申し分ない。

断る理由はないんだけど。

「今度の日曜日空けておいて」
「あ!…」

私の答えは聞かず、強引に予定だけを告げ、悠斗さんは行ってしまった。

…優柔不断だ、私。
自己嫌悪に陥る…。

「…え〜?いいじゃない。悠斗さん、優しそうな人だし。2人で出かけるくらい、どうってことないじゃない。

それに、彼氏欲しかったんでしょ?
このままうまくいけば、彼氏になるんだから、そう難しく考えないで、楽しんでおいでよ」

オフィスの中、葉月さんが言った。
…そうは思うんだけど、なんだか気が進まない。

困った顔で葉月さんを見る。
そんな私をジッと見て…。

「悠斗さん気に入らなかった?
…それとも、誰か気になる人でもいるの?

なんか、ひとみちゃん、凄く焦って彼氏探し始めたし…」

「…いえ、それは」

「…島谷、これ頼む」
その言葉に心臓が跳ねた。
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