【完】狂犬チワワ的彼氏


「…あるわけないだろ、心当たりなんて」



そして俺は龍也の問いにそう答えると、ソファーの上にごろん、と寝転がった。


…俺は今まで妃由以外の女からも何度か告白されたことはあったけど、全部きっぱりばっさり断ってきたし。

だからその直後からは幻滅されたり嫌われることが多かったから………たぶん、俺に直接告白してきた奴等はその送り主じゃない。

…少なくとも。いや、わからないけど。


でも、俺が独りそう思っていたら、智輝が面白そうに言った。



「まーまーまーまー!確かにこの手紙、不気味だし気持ち悪いけどさ、もしかしたら可愛いコからなのかもしんないじゃん」

「…さっき、彼女は性格で選んだ方が良いって言ってたくせに」

「あれ、そうだっけ?」

「……」



…女好きもいい加減にしてくれ。


俺はそんな智輝を横目にため息を吐くと、やがてソファーから起き上がってリビングを後にした。





……この手紙はまだ、序の口だったなんて…


この時の俺はもちろん、知るよしもない。


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