日本有数の建設会社が名を連ね、有名な

建築家や社長達が年に一度集まるパーテ

ィーに、俺が尊敬する建築家、麻生の代

理としてパーティーに来ていた。


そんな中、親父を見つけ話しかけた。


「お久しぶりです」


「元気そうだな。お前の活躍は聞いてい

るぞ」


「ありがとうございます。でも、まだま

だ勉強不足ですよ」


「麻生君の元で学ぶのもいいが、そろそ

ろ俺の片腕になってもらいたいものだ」


親父の本心なのだろうが、俺はまだまだ

ヒヨッコだ。


「もう少し、時間が欲しいですね」


「老いぼれる前に俺を楽にさせてくれ…




その時、冗談まじりで俺にプレッシャー

をかける親父の背後で落ち着きのない秘

書と視線があった。


先程から、なぜかソワソワとして親父に

隠れるようにしている。


眉を描き、薄いアイメイク、淡いリップ

を塗り、ナチュラルメイクをしているの

だろうが、化粧気のない顔だ。


透き通る肌、きれいな顔立ちをしている

のに……


もっと、メイクを丹念にすれば美人なの

にと…いや、化粧っ気がなくても綺麗だ

と思いながら彼女の唇の右下にある黒子

が目にはいった。


そういえば、あの時の女も唇の右下に黒

子があったな。


日本に仕事で来たあの日、泊まっていた

ホテルのバーに何気なく寄った時に会っ

た女。


カウンターにカクテルドレスを着て1人

でいる彼女…華やかな出で立ちと違い、

暗い表情でため息をついている理由が気

になり様子を伺っていた。


待ちぼうけをくらって暗いのだろうか?


俺が、バーに来てから30分はたってい

るのに、誰かが来る気配もない。


周りにいる男達も、彼女が気になるのか

遠巻きに様子を伺っているようだった。


突然、俺に向けて彼女が声をかけてきた。


『一緒に飲まない⁈』


横顔ではわかりにくかった綺麗な顔立ち

に心がざわついた。


こんな美人が一人でため息をついていた

のかと思うと、様子を伺っていずにもっ

と早く声をかけていればよかったと後悔

してした。


彼女の唇が動くたび、妖艶な黒子が目に

つき、色気のある口元、赤い口紅が塗ら

れたプックリとした唇にそそられる。


その唇に触れてキスをしたい…


欲望のまま、女を抱きたいと思ったのは

いつ以来だろうか?


彼女と会話していても、頭の中は邪な考

えでいっぱいだった。

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