お互いの気持ちを確かめ合い、今、愛し

い零の胸に顔を埋め余韻を残したまま甘

やかされている。


背筋をスッーとなぞる指先に背を仰け反

らせると自然と顔が上がる。


もう…と薄暗い闇の中で零を睨んでも、

彼には痛くもない。


彼の胸の上で肘をつき、ぎゅっと鼻をつ

まんでやる。


それでも『クックク』と楽しげに笑って

いた。


「ねぇ‥見せたいものってなんだったの

⁈」


「あぁ、それか⁈」


今、思い出したかのような妖しい眼差し

に身構えてしまう。


「既に見せたつもりだけどな…」


⁇…首を傾げた私


「ほら…ここに…ここにも…こっちにも

俺の愛を刻んでみせただろう」


「もう…それ、意味が違うと思うんだけ

ど……」


プクッと頬が膨れる。


「わかってる…冗談だ」


優しく私の頭を撫でた手をサイドボード

まで伸ばすと引き出しから小さな布地の

巾着を私の手のひらに乗せた。


「なに⁈」


「見せたいものの一つだ」


巾着の口を開き手のひらに落とすと光る

チェーンピアス。


「これって…」


見覚えがある…


「あの日のお前の忘れ物だ…はじめて惹

かれた女が幻じゃなかったという証。や

っとお前に返せる」


私の手のひらからチェーンピアスを一つ

とり耳朶についているピアスとつけかえ

ると垂れているチェーンを指で弾く。


そして、もう片方も同じようにつけかえ

て満足気に微笑む。


私も零につられて微笑んだ。


零と一緒に、こんな穏やかな気持ちを持

てるなんて別れを決めたあの日の私は思

いもしなかった。


「持っててくれてありがとう…」


「あぁ、お前と俺を結ぶ鎖(チェーン)だ

からな…運命ならまた会えると信じてた

……そしてお前を見つけた」


「…うん」


零の胸に擦り寄るとぎゅっと抱きしめて

頭部にキスをくれる。


「胡桃‥今日からここで一緒に暮らそう

…」

頭部に触れる唇から甘く響く声…


「今日から⁈」


突然の同棲に戸惑う。


「あぁ、お前と一緒に住むつもりで探し

てた部屋だ」


「………⁈」


「何を驚いてる…俺と結婚してくれるん

だろう…」


「そうだけど…早すぎない⁈」


「いや‥遅いぐらいだ。お前がいなくな

る前日にここを買った。お前は俺のサプ

ライズ計画をダメにしたんだぞ……」


ダメにしたんだぞ…

って、そんな拗ねた顔をしたって困る。


知らなかったもの。

この作品のキーワード
策略  お見合い  副社長と秘書  腹黒  甘々  ライバル