命がある意味(短編)

親の死に目






私は おばあちゃんが危篤だという電話で


急いで 病院に行った









しかし 真夜中の病院で見たものは



ある病棟の一角の病室で


数分前に亡くなったばかりの



育ての親のように 毎日 まいにち


育ててくれたおばあちゃん



微笑みを浮かべて 優しい顔で


息を引きとった 大切なおばあちゃんだった









そのあとは よく覚えていないが


母は 死後の処置のお手伝いをしていた


私も 看護師の卵だから 手伝いたかった…



けど 立つのもやっとで


ただ泣き叫ぶことしか出来なかった


私の兄は ただ一言



『ばあちゃんは 最後まで頑張ったんやから

最後は 笑顔で 送ってあげな』



そう言って 抱き締めてくれた








でも…


今思えば ばあちゃんに見せたかったな


少しでも看護師に近づいている私の姿を

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