とんだ勘違いから
告白
ちょうど仕事が終わる時間だと思ってロビーに向かうと部長と課長が二人でエレベーターから出てきたところだった。


だからそっと部長の後ろに近付いてトントンと肩を叩いた。


「あれ、早引きしたんじゃなかったのか?」

と少し驚いたように言われたけど

「いいえ、社長に呼ばれて用事を言いつけられただけです。終わってすぐに帰ってきましたよ。」


といった。でも、仕事に戻る気がなくて結局玲さんのところで時間を潰してしまったわけで…

「前田部長今日も行かれるんですか?玲のところへ?」


少し勇気を出して聞いてみると。


「ああ。少し飯食ってから行くつもりだったけど。」


と言ったから、いつものように

「一緒にご飯行ってもいいですか?」

と言ったらびっくりしたみたいに


「はっ?一緒にか?」

と言って課長を見るから

「多分、お前の好きそうなところじゃないぞ。有本も一緒だし。」


有本課長はニッコリと笑いかけてきて

「川手さん一緒に行きましょうよ。僕も一緒に例の店にも行きたいですしね?」


好きそうじゃないところって、私部長とでかけて好き嫌いないの知ってるはずなのに、


「いいですよ。私の好きそうじゃないってところ気になりますし。私好き嫌いないんですから。有本課長も一緒なんて楽しそうじゃないですか?」


どうしてもくっついて行ってやるって思いが勝手に口から出てくる。


すると少し苛立ったみたいに

「そう、じゃ、ついてくれば。」部長に言われ、課長からは笑顔で


「任せてください、僕が楽しませますからね!」


と三人並んで歩きだした。


課長が

「嬉しいな、川手さんと一緒に飯に行けるなんて。」

といろいろ話しかけてくれてあっという間に店についた。
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