桜ノ華
想いは募り
「三条さーん、書類上がったから会長におねがーい」
「はい、承りました」
「あっちょっと待って! こっちももう上がるから!」
「あ、ではまずこちらの仕事を片づけてきますね。
5分程度で戻りますので、その際に」
「うん、お願い!」
会長補佐とはその名の通り、会長の秘書のような仕事内容。
生徒会に入ってからますます桜の株が上がった。
「美人で性格良くて気も利いて仕事も出来て勉強もできて運動もできて…
本当、三条さんって完璧だよなあ。逆にできないことってあんのかな?」
「無さそう。つーか会長とお似合い過ぎだし」
「なんせ、"完全無欠の王"と"桜の君"だもんなあ…」
学園中で囁かれるそんな言葉に、
前の桜なら溜息を吐いていただろう。
でも今は気にならない。
「ただいま戻りました」
「ああ、ご苦労」