I'm crazy about you.



久しぶりの七海の家は、以前と変わらずに俺を迎え入れてくれた。
久しぶりね、と喜んでくれるおばさんは俺の好物をたくさん用意してくれていて、昔は少し怖かったおじさんは、車で来てるからと断る俺に、泊まっていけばいいからと酒を勧めた。



食後にリビングで酒を飲むおじさんと俺の横で、七海とおばさんがお茶を飲む。
他愛もない話をしながら過ぎていく時間は心地良くて、ただ漠然と、自分たちの未来にこの日常が続く事を幸せかもしれないと思った。




「あのさ、七海」
「ん?…どしたの、京輔…」
「俺さ、まだ暫くは仕事落ち着かねぇと思うんだけど」
「京輔?突然どうしちゃったの?」

七海が慌てたような、困惑したような顔で俺を見る。
おじさんとおばさんも、突然真面目な顔をした俺を黙って見ているのが分かった。



「今はまだ自分の事でいっぱいいっぱいだけど…何年かしたら、結婚したいって思ってる」
「ちょ…京輔?」

おじさんの小さく唸る声と、おばさんのあら、という明るい声が耳に入るけど、俺は真っ直ぐに七海を見つめたままで。
今まで結婚なんて口にした事も、匂わせた事もなかったから、当然七海が一番驚いた顔をしている。




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