不幸ネット

崩壊

「おはよーございますっ」

 今日も元気な美樹の声が社内に響いた。

「おはよ……」

 隣の席に腰を下ろす美樹に、私は視線だけを送った。

「おはよ、良美さん。どうしたの? 何かちょっと元気、ない?」

 私の様子に気がついたのか、美樹は怪訝そうに私の顔を覗き込んだ。

「うん、まあ……ちょっと」

 もうすぐ上沼が出社してくるので、あまり詳しくは話せない。

 お昼にでも話そうかと思ったけれど、昨日の事に確信を持てなかった私は「やっぱり大丈夫」と無理な笑顔を返した。

 美樹は怪訝そうにしていたけれど、時計に目をやるとそれ以上は突っ込んでこなかった。
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