純情喫茶―恋する喫茶店―
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喫茶店『柚葉』開店

その日は今日の門出にふさわしいと言うように、空は青く晴れ渡っていた。

雲は1つも見当たらない。

「笙、ちょっと」

メニューリストを片手に寺師玲奈(テラシレナ)が実弟の寺師笙(テラシショウ)を呼んだ。

「何?」

カウンターでコーヒーカップの整理をしていた笙が玲奈のところへ歩み寄ってきた。

「ちょっと見て」

キレイにネイルが施された玲奈の指先を笙が覗き込んできた。

「あんた、『おいしいコーヒーとケーキはいかがですか?』が『おいにいコーヒーとケーキはいかがでふか?』になっちゃってるよ」

メニューに書いてある文字を見ながら、玲奈が苦笑をした。
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