「え……?」

大学の学食で、電源を入れたスマホの着信履歴に自分の目を疑った。


昨日の夜に、電源を切ったままだったスマホにはおびただしい数の着信があって。
掛かって来てたのはもちろん知ってたけどまさかこれほどとは思ってなくて。


――電話だけじゃなくてメールも……

理沙と博人さん、…そして藤堂さん。


「ふぅ……」

溜め息と共にスマホの画面を消し、窓の外に目を向けた。
そこには、昨日の雨が上がり、雲ひとつない晴れた空。

昨夜は、あれからタクシーを拾いマンションに帰って。
ベッドに入ったもののよく眠れないまま朝を迎えた。
少し具合が悪い気もして、ぼーっとしてもいたけど大学に来た。

当然、講義の内容は全く頭に入らないし、身体もどんどんだるくなってきてて。

それでも帰らないのは、部屋に一人で居たくないから。


――かと言って、誰かと話したいわけじゃない……


テーブルの上のスマホを持ち、席を立ちあがる。


「あ…」

すると手の中のスマホが電話を知らせて震えだした。


「……」


もう一度座りなおしスマホを見ると電話は理沙からで。
小さく息を吐き、スマホを耳にあてた。

「…もしもし」
「――美智子?」
「…理沙」
「ああ、よかった。やっと出てくれた」
「…ごめんね。スマホの電源切ってたから」
「……大丈夫?」
「………ん」
「あのね、美智子――」
「ごめん、理沙。今は話したくない」
「え?」
「今は無理。とにかくごめん」
「美智子っ?」
「次の講義始まるから、切るね」

理沙の返事も聞かずに電話を切り、そのままスマホの電源を落とした。


――…はぁ……。

のろのろと立ち上がり、午後の講義を受けるために学食の出口へ歩き出す。


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