いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
「………だけどね」
ずっとカラーボックスを眺めていたお姉ちゃんが、私を見てにこっと笑う。
「自分の好きなことが勉強できてるから、苦にはならないよ。だってこれが、私の目指す道だしね」
お姉ちゃんの瞳が、キラキラと希望に満ちたものに変わる。
自分のやりたいことができるお姉ちゃん。
何の心配もせず、自分の夢を追いかけられているお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんが、心の底から羨ましいと思った。
「紗和(さわ)ー。心咲ー。お昼ご飯できたわよ。降りていらっしゃーい」
1階から、お母さんが私たちを呼ぶ声がする。
私たち姉妹はそれに大きな声で返事をすると、1階へと降りる準備を始めた。