いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


「………だけどね」


ずっとカラーボックスを眺めていたお姉ちゃんが、私を見てにこっと笑う。


「自分の好きなことが勉強できてるから、苦にはならないよ。だってこれが、私の目指す道だしね」


お姉ちゃんの瞳が、キラキラと希望に満ちたものに変わる。


自分のやりたいことができるお姉ちゃん。


何の心配もせず、自分の夢を追いかけられているお姉ちゃん。


そんなお姉ちゃんが、心の底から羨ましいと思った。


「紗和(さわ)ー。心咲ー。お昼ご飯できたわよ。降りていらっしゃーい」


1階から、お母さんが私たちを呼ぶ声がする。


私たち姉妹はそれに大きな声で返事をすると、1階へと降りる準備を始めた。


< 73 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop