美味しいほっぺにくちづけて。

心を照らす歌声

「おまえが、なんでそんな泣きそうな顔をしているのか教えてくれたら、弾く。」



「えー・・・・」



空さんの“おまえ”と呼ぶの声が素敵だと今の瞬間、ちょっと思った。


いつから、おまえって呼ばれていたっけ？いつ当たり前になったんだろうと、ふと思った。



空さんに、おまえって呼ばれるのは嫌じゃない。
不思議。




三日月公園にやって来た、私と空さん。三日月公園には大きな、三日月の形をしたすべり台がある。





ギターケースを置いた空さんは、ジャングルジムを背もたれにし、私を見た。



・・・・公園なんて、何時ぶりなんだろう。お母さんや、おばあちゃんやおじいちゃんに連れられてよく、地元の公園にも遊びに行った。




今は、私も子供のころの私でないし、空さんがいる。



私は、空さんの前に立っているから、空さんを見る。





受け止めるしかない現実・・・・仕方ないとわかるよ。人はいつかは命を尽きる。


寿命はいつ来るのは誰だって、分からないものなんだよね・・・




「・・・悲しいことがあったんです。でも、それは受け止めるしかなくて、ちょっと泣きそうな感じですかね。」




心の気持ちは話したって変わらない。どんよりとした心。




「そっか・・・おまえっていつも、何で悩んでるかは言ってくれないよな・・・俺、そんな頼りないか？」




「そ、そんなこと・・・！」


空さんは、私の頭をわしわしと撫でると、私のほっぺに自分の掌を静かに触れて、一瞬にして、遠ざけた。


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