蕾の妖精たち
「榊さん……。榊舞子さん!」


 富永が声を掛けても、何の反応もない。

 しかし、舞子は何かを言っていた。


 ブツブツ…ブツブツ…。


「何を言っているのですか?」


 富永が耳を近付けた時、ふいに舞子は、楽し気に、こう言った。


「私……死ぬのよ」


「えっ!?」


「幸せに……なるの」





第五章

「分岐点」

完結



 小説

「蕾の妖精たち」

 著者 花井敬市


 了





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