夏のわすれもの
Chapter5*君はただ1人*
その日、俺は大学時代の同級生が営んでいる探偵事務所にきていた。

訪れた理由は、調査の依頼をするためである。

事務所を出た俺を迎えたのは、厳しいくらいの残暑だった。

この厳しい残暑が終わったら、もう夏が終わるんだな。

そして、彼女との繋がりももう終わる。

何故なら、陣内がひまわりと結ばれたからだ。

そう思っていたら、
「藤堂さん?」

誰かに名前を呼ばれた。

その声に振り返ると、
「周さん」

彼女がいた。

赤茶色のミディアムから、ミルクティー色のボブに彼女は髪を変えていた。

その瞬間、俺は今しかないと思った。
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