夏のわすれもの
Chapter２*君は健気な女の子*
周綾香との見合いを終えたその日の夜のことだった。

陣内は１人の少女を拾った。

拾ったその子は、自分の名前すらも忘れてしまった記憶喪失の少女でだった。

陣内は彼女に、名前を与えた。

――ひまわり

その単語を聞いたとたん、俺の躰が震えた。

ひまわりと言えば、あれしかないと思ったからだ。

ひまわりの花が嫌いなはずの陣内がどうしてその名前を選んで彼女に名づけたのか、俺はわからなかった。


昼休み。

陣内は同じ社長で大学時代の先輩である五十嵐さんと社長室で話をしていた。

仕事がどうこうと、雑談がほとんどだな。

そう思った俺は、タバコを吸いに喫煙室へと足を向かわせた。
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