喫茶の謎解き意地悪紳士2


阿部はしばらく黙って詩音をみていたが、やがて「とにかく」とため息を吐いた。

「どちらにせよ、署で話を聞かないといけない。同行してくれるか?もちろん、任意だ」

「……分かりました。ここで断ると、犯人扱いされるんでしょ?従います」

葵がうなずくと、阿部は綾華を呼んだ。

綾華が汚いものでも見るような目で葵をみる。

「この子を署まで連れてってくれ。俺はまだ残る」

「阿部刑事のくせに私に指図しないでください。下僕が主人に命令なんて聞いたことないわ」

それだけ言うと、葵の手を引っ張ってパトカーに乗り込んでしまう。

阿部が悔しそうに髪をかきむしった。

「なんだ、あの女!どんだけ上からなんだよ!上から綾華か!」

「……久しぶり聞きました、そのセリフ」

詩音がげんなりとした視線を阿部に浴びせると、阿部は恥ずかしそうに頬を赤くする。

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