らぶ・すいっち




「こ、こ、これは?」

「だし巻き卵、頑張ってみようね。京香ちゃん」

「……」

 (火を使っての調理。それも卵料理はハードルが高すぎます!)

 プルプルと震える手で卵焼き器を持ち、コンロに火をかける。
 そこに卵焼き器を置き、薄くサラダ油を敷く。

 だし汁たっぷりの卵液を入れ、必死になってだし巻き卵を作ってみた。

 しかし結果は……無残な真っ黒焦げのスクランブルエッグ。
 ガックリと項垂れている私に、おば様たちも私を弄ることを忘れてはいない。
 
「あらあら。京香ちゃん、これじゃあ順平先生にお小言いわれちゃうわね」

「いいじゃない、いいじゃない。しっかり順平先生に教えてもらいなさいね」

 ポンポンと代わる代わる私の肩を叩いて慰めてくれるのはいいが、なんだかとんでもないことを言われていなかったか。

(ってか、やっぱり居残り授業のこと。おば様たちにバレバレなんじゃ……)

 私は再びガックリと肩を落とした。
 
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