【短】溺愛ショコラ
溶かされました。



―――一週間後。


『まだか。』

「……すみません。」


出版社編集部。

目の前には座り心地のよさそうな椅子に、ドカッと座っている渋い顔をした編集長。


『もう1週間だぞ。』

「はい、すみません。」

『あと1週間なんだぞ。』

「はい、承知してます。」

『承知してんなら早く工藤先生の尻を叩きに行け!お前は原稿持って来るまで出勤してくんな!』

「そっ、そんなぁ!?」


あまりにも理不尽なことを仰る編集長に、私は涙目で抗議する。

なんて理不尽な世の中だ。

私の事情を知りもしないから、そんな酷なことが言えるんだぁ!と編集長を心の中で罵倒する。

……だって、口に出したら私の編集者としての道が断たれる。


『大丈夫だ。お前の無駄に溜まってる有給休暇を当ててやる。』

「そんなぁ!?」

『そんなそんな言うんじゃねぇっ!』


ひぃぃっ

鬼編集長。怖すぎる。元々渋い顔してんだから、そんなに睨まないでいただきたい。

無駄に私の貴重な寿命が減る。



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