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前の会社は保険会社。
瑠美は支店との連携する部署で雑用兼事務として契約社員で働いていた。

家からの通勤も便利で最寄りの駅にはショッピングモールやレストランなども充実して気に入っていた。


「瑠美〜。今日は一杯寄ってかない?」

「いいよー。新しく出来た反対側の改札の立ち飲み屋、行ってみない?」

「名案!行こ行こっ。じゃあさっさと仕事片付けよーっと」


同じ契約社員として働く早紀子や同部署のメンバーと週に2回は寄り道をしてストレスを発散していた。


「お疲れー!カンパーイ!」


グラスを合わせて飲み始める。スペインのバルをイメージした店は、女性が多く、スーツにヒールを履いた女性達がワインやビールを楽しんでいる。

勤め始めて1年程。仕事にも慣れてきて他部署とも業務での連携があり、知り合いも増えてきた。

会社側の改札付近には多数居酒屋があり、飲みに行けば必ず知り合いの社員に声を掛けられていたが、その日は改札の反対側。
知り合いには会わないだろうと仕事の愚痴をこぼしながら飲むはずだった。


「村上さん?だよね。」

「えっ…?」


呼ばれた方へ視線を向けると、少し離れたテーブルの男性と目が合う。
その男性は自分が居るテーブルからグラスを持って他の客を縫うようにすり抜け、瑠美達にのテーブルに来た。