―――…本当によかったのだろうか。


もう何度目かのその疑問に、小論文を書く手を止めた。

大学での試験中、浮かんでくるのは婚姻届のこと。


――…サイン、しちゃった……。


藤堂さんのことがどうしようもなく好きだし、ずっと一緒にいたいと思っていたのも本当。

でも、結婚は、自分がまだ大学生なのもあり、もっと先のことだろうと考えていた。

それがいきなり現実のものとなってしまったことに少しだけ迷いもあって。


もちろん、藤堂貴之の『妻』になったことは素直に嬉しい。


――…ただ、なんか違うって言うか……


私が想像してた結婚は、バラ色とまではいかないまでも、すごく幸せな気持ちでいっぱいになるようなもの。


……理想と現実は違って当たり前、なのかな。


カリカリと、紙の上を走るシャーペンの音だけが響く教室で、何ともちぐはぐな気持ちだけが私の周りをぐるぐるとまわっていた。




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社長  王様  溺愛  激甘 

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