「授業を始める」

号令のあとの決まり文句のように、いつも先生はこの言葉を口にしていた。

シンと静まり返る教室内に響く先生の声。
大人の男の人らしい、落ち着いた声は多くの生徒を安眠の世界へ導いていた。

古典の授業は毎回淡々と進んでいき、ほとんどの生徒が上の空状態だった。

だけど私は違う。
いつも先生の古典の授業が楽しみでしかたなかった。

同級生の男の子とは違う、大人の男性。

最初はきっと憧れからくるものだったのかもしれない。

でもいつの間にか憧れの気持ちは、次第に確かな想いと変化していき、気付いたら先生のことが大好きで堪らなかった。

校舎内で見かけることができたら、手帳にハートマークを書いた。
一言でも言葉を交わせたら、大きな花丸をつけていた。

先生は私の高校生活の中心だった。
授業はもちろん、行事でも先生のことを第一に考えてしまっていた。

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初恋  オフィスラブ  先生  歳の差  過去  再会  じれじれ  男目線  片思い 

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