きっと、明日も君がすき。
実習6日目


「しーおーりーちゃんっ!」

美術室で授業で使う見本の絵を描いていて、使った道具を洗っているとふいに声をかけられた。



声のした方へとそのまま顔を上げれば、目の前の窓越しに満面の笑みを浮かべた女の子2人と数人の男の子たち。私も笑みを作って目の前の窓を開ける。


「わ、」



「あったけぇー!いいなぁ~」

開けた瞬間。2月の寒い冷気が。

向こうには、こちらの暖房で暖まった空気が当たったらしい。


女の子はジャージ、男の子に目を向けるとサッカーのTシャツを着ていて。

「サッカー部?」



「そうっす」




笑顔で答えてくれる子達の顔には汗が浮かんでいて。


こんなに寒いのにすごいなぁと思う。





行き帰りに外を歩くだけで私は辛いのに。

若いってすごいなぁ。

「志桜里ちゃん絵、書いてたの?」

「うん。ちょっと見本をね。・・・部活は、休憩中?」

「うん。今、別のグループが戦ってるから。志桜里ちゃんいるかなーって来てみた」



「わぁ、ありがとー」

素直に、嬉しい。にっこり笑えば、かわいー!と言われる。いやいや、あなたちのほうが十分かわいいです。



「もっと美術の授業したいなぁー」



「本当? 嬉しいなぁ」

「他の授業全然面白くないもん」



「・・・そうなの?」



聞けば、全員が即座にうなずくから声を出して笑ってしまう。







私も高校の時、そうだったなぁ。美術がしたくて、絵が描きたくて早く放課後にならないかなって授業中も絵のことばっかり考えてた。



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