きっと、明日も君がすき。
高校2年生*冬*





「大分できあがってきたね」

キャンバスに向かって集中していると、ふと後ろからかかった声に私は顔を横へと向けた。



腰を屈めて、私と同じ顔の高さでキャンバスを眺める田島先生。

人よりも要領が悪いからか、みんなよりも書上げるのが遅くなってしまって。〆切まであと少ししかないというのにまだ半分ほどしか絵は進んでいなかった。




毎日通っているはずなのに。
今回は、どうしても構図に納得がいかなかったのだ。





描きたい絵はたくさんある。こういう構図で、こんな風に。

まるで写真を撮ったかのようにその映像、完成予想図は頭の中に浮かんではいるのだ。



だけど、それが現実として私の手でキャンバスに描けるかは別の話で。

技術もセンスもない私は、上手に描けず思い描いている色を作り出すことすらできずにずっと立ち止まってしまっていた。



キャンバスに筆を入れることすらできず、ひたすら思い描いた色が出ることを願って絵具を調整しながらパレッドとにらみ合うだけの日が3日あった時もあった。




さすがにあまりの進行具合の遅さに
「妥協しなよ。その色でも十分素敵じゃん」




と部員の人には言われたけれど、どうしても妥協が出来なくて。




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