僕と8人の王子
「ひな、ちょっといいかな?」
そう言って、ノックをしてきたのは翡翠だった。
「ど、どうぞ」
予想もしていなかったから、戸惑いながらも返事をする。
ドアが開いて私服に着替えた翡翠が部屋に入ってくる。
「急にごめんね。さっき、話し忘れたことがあったんだ」
「え?」
翡翠は、さらに部屋の奥に入って敷いたばかりのカーペットに座り、ベットの上の僕を見て話を続ける。
「ひなが女の子だってわかったからには注意してもらいたいことが幾つかあるんだ。本当は僕がずっとそばにいて守ってあげたいんだけど...……。あ、竜もね」
少し焦って最後の言葉を付け足したようで、違和感を覚えた。
(それにしても、翡翠は本当に綺麗な顔してるな〜。私服もかっこいいし、いつまでも見てられる)
「そういうとこだよ」
近づいてきた翡翠が僕の耳元で、囁くように言った。
心の中が見透かされていたようで、なんとなくこそばゆくて、無性に恥ずかしくなった。