LOZELO


6.To Unknown World


莉乃が言っていた通り、お父さんたちが見舞いに来るらしい。

昼前に電話がきて、もうすぐ着くから、と。

入院している部屋の番号も教えていない娘なんて、あるだろうか。

入院して早10日。部屋番号を言う自分が、バカみたいだった。

朝の回診に来た江口先生には、親が来ることを伝えなかった。

別に、私の問題に親が関わる必要はないから。

入院の申込書だけは用意しておいた。

未成年、とは至極面倒だ。

親の名前を記入しないと申込書が出せない。

だからその点だけは、きてくれることがありがたかった。

私のベッドの上で絵本を広げる優奈ちゃんも、私に見舞い客が来ることを知らない。

もう一つお母さんが私にくれた、今はもうぼろぼろの手作りのお守りを、私は今日も握り締めて。


「おねぇちゃん?」


女の子のかわいい声は、優奈ちゃんのものではなかった。
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