身長差43センチのふたり。



『…それそろ行かんと…!』

「あっ…、うん。」


改札前の時計を見ると、もう5分前。

本当にそろそろ行かないと、乗り遅れちゃう。


『雛乃!』

「ん?」


ふわり、と身体が朱莉の香りに包まれる。

昔はよく2人で抱き合ってたなー、なんて懐かしい思い出が頭に浮かんでは消えた。


『雛乃に言えてよかった。』

「うん。」

『大好き。一生、雛乃は私の親友やけんねっ』

「うん……私も。」


見なくたって分かってしまう。

朱莉が泣いてることなんて。

朱莉の震える腕と声に、私も涙がこみ上げる。


「今度は、私が朱莉に会いに行くけん。」

『ん…、待ってる。――バイバイ。』


最後に見た朱莉の笑顔は、涙で歪んで見えた。



< 217 / 384 >

この作品をシェア

pagetop