ずっと求めていたぬくもりが私を包んで、全身の力が抜けていく。


「ち、ひろ…くん…?」

『雛乃…っ』


雨の中、切羽詰まったような顔をした千尋くんと視線が絡まった瞬間、時が止まったような気がした。

何で千尋くんがここに――?

泥だらけの私に触れたら、千尋くんまで汚れちゃう、と千尋くんから離れようと身をよじると、手に握りしめていたお守りの鈴がチリリと鳴った。


『ッ、何で…っ』


私がお守りを握っているのを見た千尋くんは、目を丸くして驚いている。

…そっか。これ…島津さんにあげたんだもんね…?

千尋くんが驚くのも当然だと思った。


『これ…っ、どこにあった?実は、昨日どこかで失くしちゃって今まで探してたんだ。』


お守りを握りしめている私の手に、千尋くんの手が触れる。

千尋くんは私が傷つかないようにそう言ってくれてるのかもしれないけど…、全てを知ってしまっている私には千尋くんの言葉がとても冷え切ったものに感じた。



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