私の決心
10
次の日、あまり気が進まなかったが、約束通り会社に出かけていく。

会社の入口前に立つと、先に来ていたであろう園田君が車から降りてきた。

「おはようございます。本当にすいません。」

カギを開けながら聞いている私に園田君は謝ってくれる。

「別に予定がなかったから構わないけど、これからは休みに出て来なくても良いように、ちゃんと用意しなさいよ。」

私は笑う。

それに対して、一テンポおいて園田君が呟いた。

「わざと忘れたと言ったらどうしますか?課長。」

私はカギを鞄にしまうと、園田君の方を振り返った。

「それはどういう事かな?私への嫌がらせ?どうせ休みの日は予定がないだろうぐらいに思ってる?」

苦笑しながら私は言った。

それに対して、首を横に振りながら私の目を見る園田君。

「だって課長は食事に誘っても、全然OKしてくれなかったじゃないですか。」
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