好きを百万回。
15


心が折れる。

見事にポキリと。









帰る間際にかかってきた母親からの電話。けれど電話の向こうから聞こえたのは聞き慣れた母親の声ではなかった。



白い部屋。

ポタリポタリと規則的に落ちる薬液。

「お母さん・・・・・」

かかってきた電話は出版社の小谷さんという女性から。

「打ち合わせ中に急に倒れられてね、救急車を呼んだの。そしたら先生がこの病院にかかってるから運んでくださいってね・・・・・」

自宅から一番近い総合病院の病室。
何度か家にも訪れたことがあり、面識のある小谷さんが話す。

「ご迷惑をおかけしました」
頭を下げる。

変な咳をするのが気になっていた。病院に行ってねってそれっきり何も聞いていなかった。

自分のことで精一杯で余裕がなかった。
最低だ、わたし・・・・・。
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