好きを百万回。
5


「は?」

亜弥と久しぶりに社食でランチを取ることにして、日替わりランチのチキンカツを食堂の隅の席でつつく。

「だから、若手親睦会に全然顔を出さない木下さんは、不動産会社勤務のカレシがいてるって専らの噂」

「なんで?」

「大体若手親睦会って水曜日でしょうよ。毎回出て来なかったらそういう噂の一つも出るんちゃう?」

「あら光栄。っていうか地味女子行員にそんな噂がたっても誰も気にならへんでしょ」

「甘いっ!」

「・・・・・何?」

「『高嶺の花より手近な庶民』よ。美人は見て楽しむもの、結婚するなら見てくれそこそこで堅実な女の子ってね」

「何気にわたしに失礼やわ。そりゃ見かけは中の下だって自覚はあるけど」

「 そこ訂正させてもらうと中の上。アンタ誰の仕事でも嫌がらずに引き受けるやない。優しいって評判」
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