イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「わあっ‼」

完全に無防備な状態でソファーに座っていた私は、ビックリして声を上げながらパッと立ち上がる。

そんな私の様子を見て、刹那さんは楽しそうにクスッと声を出して笑った。

もう性格悪い!

思わずムッとした顔になる。

「気配消して近づくなんて悪趣味ですよ、刹那さん!帰って来たなら声をかけて下さいよ」

「また寝てるかと思った」

刹那さんは面白そうに私を眺めながら悪びれずに答える。

……絶対確信犯だよ。私を驚かすつもりだったに違いない。

「それにしても、こんな夜中に『サロメ』か。いい趣味してるな。頼むから寝ぼけて俺の首をはねるなよ。それほどまでに俺が欲しいなら考えてやらなくはない。俺がいなくてそんなに寂しかったのか?」

目を悪戯っぽく光らせながら、刹那さんは左手で器用にネクタイを外していく。
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