イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
大学に行こうと玄関のドアを開けると、右京さんがいてびっくり。

てっきり刹那さんの出張に同行したのかと思っていたのに……。

今日もこうして彼は私を送ってくれる。

右京さんはいろいろデスクワークが溜まっててって言い訳してたけど、本当は私の送迎のために刹那さんに言われて残ったんじゃないだろうか。

「いえ、大丈夫です」

私は苦笑する。

雪乃さんの気持ちもわかる気がする。

刹那さんが好きだからこそ必死なのだ。

誰にも譲りたくないって思うのは当然。しかも、相手は私だもんね。

「雪乃ちゃんの事は僕達が何とかするから」

……そうですね。そうして頂けると助かります。

彼女の相手をしていると、胃に穴があきそうです。

「はい。……じゃあ、行ってきます」

「終わったら連絡して」

右京さんの言葉に頷いて軽く手を振ると、車を降りて大学の門をくぐる。
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