イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
もう何でもいい。

安そうだし、万が一なくしてもダメージが少なそう。

「興味があるのは本だけか」

溜め息交じりの声で鷹司さんがぼそっと呟く。

「何か言いました?もうこれでいいです。落ち着かないんで早く帰りましょう?」

私がソファーから立ち上がろうとすると、鷹司さんに手をぎゅっと捕まれた。

「まだだ。実際にはめて試してみないとここに来た意味がない」

手間をかけさせるな。

鷹司さんの目がそう言っている。

この目には逆らえない。

昔から思ってたけど、鷹司さんて王者の風格というか……小学生の頃から他の人とはなんか別格の存在だった。

彼が言うことに逆らう人なんていなかったし……先生達も彼に睨まれることを恐れてた。

「……はい」

私が再びソファーに腰かけると、鷹司さんは私の左手を手に取り、次々に指輪をはめて試していく。
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