イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
でも、お祖父さんに手術を受けさせるためにうちとの結婚を決めるなんて、刹那さんにとってはお祖父さん……とっても大事なんだろうな。

「それにしても、鷹司家の嫁にしてはやけにシンプルな結婚指輪じゃな」

お祖父さんが私の左手の薬指の指輪にチラリと目をやる。

さっきまでの表情とは違う鋭い視線。

き、きたー!

早速突っ込まれた。

……どうするの?どうするの?

私がおろおろしながら刹那さんを見上げると、彼は余裕の笑みを浮かべた。

「桜子は宝石よりも本に興味があるんですよ。ダイヤに頬擦りはしなくても、オースティンの『高慢と偏見』の初版には喜んで頬擦りするでしょうね」

……なぜ私の好きな本まで知ってる?

結婚相手の妹だから素行調査位してるだろうけど、私がどんな本が好きなのかなんてお姉ちゃんも知らないのに……。
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