イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
お姉ちゃんは芸術に興味がないし、刹那さんの趣味かな?

シャガールの絵をじっと眺めていると、刹那さんに声をかけられた。

「シャガール好きなのか?」

「美術にそんなに詳しくはないですけど、見ていると心奪われますよ。良いですね、毎日見られるなんて」

「桜子もこれから毎日見られるだろ?」

そんな面白そうに言わないで欲しい。

「一ヶ月だけですけどね」

「たいした自信だな?姉が戻ると信じてるのか?」

「……お姉ちゃんだってそのうち反省して戻って来ると思います。無事に戻ってきたら、刹那さんがうまくお祖父さんに事情を説明すればいいでしょう?お祖父さんは何の病気で入院してるんですか?」

「胃ガンだ。今死なれては困るんだ。手術をすればまだ治せるステージだし、俺が鷹司グループを掌握するまでは生きていてくれなくては。俺が梅園の娘と結婚すれば手術を受けるというのなら、喜んで結婚する。結婚なんてそもそも興味ないからな」
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