イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
だったら客室に運んでくれればいいじゃない!

何で同じベッドで寝なきゃいけないの?納得いかない。

「……それは、余計なお世話です」

小声でボソッと呟くが、どうやら刹那さんは地獄耳だったらしい。

「余計なお世話だ?」

刹那さんが片眉を上げる。

……怖い。

「……いえ、メガネがないと若く見えますねと……ごにょごにょ」

「ほお?で、桜子はどっちの顔が好きなんだ?」

刹那さんは完全に目が覚めたのか、上体を起こすと面白がってその顔を私に近づけてきた。

とりあえず彼が紺のパジャマを着ていて安心する。

その時、フワッと薔薇の香りが漂った。

これは……。

「うそ!刹那さんも薔薇の花のお風呂に入ったんですか?」

そういう趣味があったんですか?なんか意外。

もちろん、他言しませんよ。誰にでも秘密はありますもんね。

私がニヤニヤしていると、刹那さんが私の額をデコピンし即座に否定した。
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