イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
……王子の……じゃなかった、刹那さんのネクタイつかんでつま先立ちになって自分からキスをして……抱きついて……。

「嘘……私が……刹那さんを襲った?」

あ~、もう死にたい!

記憶を消せるなら消してしまいたい。

今、刹那さんにキスされたショックよりも、私が夜中に彼を襲った事の方が衝撃的だ。

寝ぼけていたにしても酷すぎる。

あまりのショックに頭を抱えていると、刹那さんがまた私に近づき、身を屈めると私の耳元で甘く囁いた。

「そんなに欲求不満なら、今日は早く帰ろうか?」

背中がゾクリとした。

さっきまで青くなってた顔が一瞬でトマトのように真っ赤になる。

「もう一生帰って来るなあ~!」

恥ずかしくてぎゅっと目をつぶりながら叫ぶと、刹那さんはクスクス笑いながらダイニングを出て行く。
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