私の横に居る人
「良かったらまた来いよ。」

いつも不愛想なお父さんが嬉しそうに声をかける。

「はい、一食分浮いた上においしいもの食べさせて頂いて…。本当にありがとうございました。」

その人は、礼儀正しくお礼を言う。

「お邪魔しました。」

そしてその人は私の方にも頭を下げた。

私も慌てて頭を下げた。

「今の若者にしてはちゃんとした男だ。」

その人が帰って、家に入るとお父さんが言った。

「本当に。親御さんの躾がしっかりなされてるのね。」

お母さんにも好印象だったようだ。

私はそんな二人の話をぼんやりと聞きながら、お茶を飲む。

「お風呂に入ってから、もう一頑張りするね。」

両親の話から抜け出すように立ち上がった。










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