私の横に居る人
お母さんはハンバーグを作って待っていた。

「いらっしゃい。さあ、2人とも入って入って。」

人に料理をふるまえるせいか、やたらとテンションの高いお母さん。

「斉藤君、よく来たね。悠、バイトが決まったよ。一応面接はしなきゃいけないみたいだから、明日履歴書を持って行くと良い。午後なら課長がずっと社内に居るらしいから、いつでもどうぞだと。」

「ありがとう。明日大学の授業が少し早く終わるから…。3時頃には行けるかな。」

「伝えておくよ。斉藤君もよろしくな。」

「俺もバイトの日なので、一緒に行けるよ。」

思いがけない申し出。

山本出版はお父さんへの届け物で会社の前までは行った事があるけれど、中に入るのは初めて。

「助かります。よろしくお願いします。」

「さあ、バイトの話はここまで。私の力作が冷めちゃうわ。」

お母さんが話を切った。









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