落ちる恋あれば拾う恋だってある
プロローグ



普通の生活をしてそれなりに楽しく生きている人は飲み会や合コンなんて慣れたものだと思う。でも私は初対面の男の人がいる飲み会なんて24歳で初めて参加して非常に戸惑ってしまう。会社の飲み会ではそれなりに馴染めていても、合コンとなると男性と何を話していいのかさっぱり分からない。

高校の先輩に誘ってもらい、自分もそろそろ恋愛がしたいから合コンに参加しようなんて思ったことを後悔し始めていた。
今もすぐ隣に座って私に質問ばかりしてくる中田という男への対応に困っている。

「夏帆ちゃんは休みの日って何してんの?」

「えっと……映画とか海外ドラマを観るのが好きなので……」

「あ、俺も映画観るよー。アクションものとか」

私はアクション映画好きじゃないんだけどな……。

好んでは観ないジャンルに話が続かない。馴れ馴れしい中田さんの態度にうまく対応できない。中田さんとは絶対に趣味が合わないだろうなと感じて余計に居心地が悪くなってしまった。
助けを求めて回りを見ると、頼みの先輩は離れた席に座って話に夢中だ。

「映画は一人で観に行くの? 友達と?」

「友達と……あとは家でネット配信とか……」

「じゃあさ、今度俺と観に行こうよ。来月公開のアメコミのやつ」

アメコミか……嫌いじゃないけど映画館に観に行くほど好きってわけでもないし……それに中田さんと観に行くのはちょっと遠慮したいかも。

せっかくこんな私を誘ってくれるのは嬉しいのだけれど、中田さんのような男性は苦手だった。

「中田、夏帆ちゃん困ってるから。あんまりガツガツしないで」

助け船を出してくれたのはもう一人の幹事である先輩の彼氏さんだ。

< 1 / 158 >

この作品をシェア

pagetop