私には、スーパーヒーローがいる。

月が海を引っ張るように、彼には不思議な引力があって、私をぐいぐい惹きつけて放さない。


彼のキリッとしたまっすぐな眉の精悍さと、優しげなカーブを描く二重の瞼は、気品と色気の美しい二重奏を紡ぎあげる。

見つめる先の横顔に影を落とす伏せられた長いまつ毛が、小さく揺れて私を捕えた。


「ちょっと反則だったかな」


細身のブロウフレームのメガネの奥で、綺麗なアーモンド型の瞳がいたずらっぽく微笑む。

彼が世の中の女の子につかせた悩ましいため息の数は、きっと夜空に輝く星々の総数にも値する。


「か……かっこよかったです」


そして私みたいに免疫のない平凡女子では視線ひとつで腰砕けになるくらい、彼はセクシーでエレガントでハンサムで、とにかくパーフェクト。


ここ、一期書店(いちごしょてん)に時折現れては、こうして私の窮地を救ってくれる出版社のイケメン営業マン。

樋泉洋太(ひいずみ ようた)は、そういう人だ。

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