叩かれることを覚悟してギュッと目をつぶり、小さく首を竦める。


「おい、やめろって……!」

「きゃあ!」


視界が真っ暗になると、乃木さんが彼女を制止する声と、彼女の驚いたような悲鳴が聞こえてきた。

それに続いて、頬を打つバチンという小気味よい音と、ガシャンと何かが地面に落ちる音。

様々な音が耳に飛び込んできたけど、私の身体には何ひとつ衝撃はやって来なくて……。


何が起こったの?


顔を俯けたまま、怖々と片目を開いてみる。

するとそこに現れたのは、チャコールグレーのスーツの足元とピカピカに磨かれた黒の革靴。

そしてそのすぐ近くには、細い銀色のブロウフレームのメガネがいびつに歪んで落ちていた。


「え……?」


見覚えのあるメガネにハッとして、慌てて顔を上げる。


「ひ、樋泉さん!?」


乃木さんの恋人と私の間に割り入って、私を庇うようにして立っていたのは、またしてもスーパーヒーローのように登場した樋泉さんだった。

この作品のキーワード
書店  メガネ  あまあま  イケメン  じれじれ 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。