2日後の金曜日も、一期書店はつつがなく営業中。

今日みたいにからりと晴れた気持ちのいい日には、ショッピングでも散歩でもなく、家でゴロゴロと読書をしたくなる。

窓の側で猫のように丸くなり、あたたかな日の光に包まれて文字を辿るだけで、私はもっと遠いところへ旅に出ることができるから。

要するに、いつでも本を読むのが好きなんだけど。

加えて私はたぶん印刷物フェチで、本を手にするとその肌触りや香りまでチェックしたくなってしまう。

だから本に囲まれて仕事ができる書店員は天職で、いつまでも熱中していられると思っていた。


それなのに、唐突に恋に落ちたあの日から2日が経っても、頭の中は樋泉さんでいっぱいだ。

もうメガネの修理は終わったかな。

お礼がしたいけど、次に会えるのはいつだろう。

樋泉さんが一期書店へ営業に来るのは不定期だけど、だいたい月に一度くらいで、いつものペースなら次に会うのは1ヶ月後だ。

一応名刺はもらっているけど、私的なことで連絡するのも気が引けるし……。


「ねえ、古都ちゃん」

「わあ!」


そんなふうに樋泉さんのことを考えながら棚の整理をしていると、突然耳元で女の子の声がして、驚いた拍子に手の中から滑り落ちそうになった文庫本を慌ててキャッチする。

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書店  メガネ  あまあま  イケメン  じれじれ 

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