GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
応援するのはもちろん彼です。side*奈央
「持ち物チェックっと。ケータイよし!デジカメよし!タオルよし!飲み物よし!それと……差し入れよーし!」
テーブルの上に広げた持ち物を、紺のカバンに入れていく。そして、今度は身だしなみチェックのために、全身鏡の前に立つ。
前髪は左分けにして小さなハートが付いたピンで留め、ミディアムの髪は頑張ってゆるく巻いてみた。
格好は、女の子の写真がプリントされた白のキャミソールに、ミントのカーディガンを羽織り、ロールしたデニムパンツ。足元は紺のスニーカーにする予定。
「これならカジュアルでいいかなっ。ふふっ」
鏡に映る自分に話しかけるように、独り言を言う私。
「あっ、いけない!待ち合わせの時間に遅れちゃうやっ」
慌ててカバンを手に取り、ダッシュで玄関へ向かう。
「気を付けて行ってらっしゃい」
「はーい!」
洗濯物を干すお母さんに返事をして家を出た。駅まではや歩き。好きな人に会えるのに、汗をかいた姿は見られたくないもん。