GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
また一段と好きになった日。side*奈央
「そういえば、野球部負けちゃったんだね」
7月上旬の昼休み。夏を知らせるむわっとした暑さが身を包む中、花蓮がふと思い出したように言う。
志摩と快二がいる野球部は、予選敗退になった、と今朝快二から聞いた。
「快二くん、今日元気無さそうだったし、奈央ちゃん慰めてあげるんだよ?」
うるうるした目であたしを見る雪。
「へ?なんであたしが?」
「だって、クラス公認の仲じゃない?」
冷たい麦茶を飲みながらそう言うのは花蓮。
「は!?」
「志摩くん一筋でも、その志摩くんの友達である快二くんのことも励まさなきゃね~」
「そうそう」
快二とは、今日朝の電車で会った。たしかにいつもよりは元気がないように見えたけど……励ますって何を言えばいいの?
それに、あたしが声をかけたいのは、快二よりも志摩の方。一緒の電車に乗ってなかったし、クラスも違うし、学校に来ているのかさえ分からない。
だから、余計に心配なんだ、志摩のこと。