ホップ・ステップ・飛び膝蹴り

次期エースとデート




短パンによくわかんねぇ英語のプリントされたTシャツ。

それに皮っぽい素材のハイカットと、男みたいな格好。

華やかに見えるのは、明るいイエローのパーカーくらい。



そんな女子力の欠片もないあたし。



駅前の時計の前。

待ち合わせにそわそわしている男女を尻目に、あくびをひとつ噛み殺した。



恋人だらけでストレスがたまるこの空間。

きゃっきゃうふふとかふざけんなよ。

今すぐここから立ち去って家に帰って二度寝したいあああああジャージ恋しいわ。



要するになにが言いたいかというと。



「消えたい」



勢いで尚とのデートを了承したことを後悔していた。






「李穂先輩!」



そこに走ってやって来たのは、あたしより少し背の高いだけの……尚だ。



「お待たせしましたか?」

「うん、待った」

「正直すぎますね!」



ふぅ、と息を整えた尚がふにゃりと笑う。






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