蟲狩り少女
そう思ってクスッと笑う。


蟲狩り師が本の虫だなんて、変なの。


そんな事を考えているうちに時間は経ち、お母さんが帰ってくる頃になっていた。


あたしはベランダから洗濯物を取り込んで、リビングへと向かう。


普段はお母さんが洗濯物をたとんでくれているけれど、休みの日はあたしが手伝っている。


リビングで洗濯物をたとんでいると、お母さんが帰ってきた。


「ただいま」


「お帰り、お母さん」


「里音、今日も家にいたの?」


「今日は図書館へ行ってたよ。小説を借りてきちゃった」


本が読めることが嬉しくてほほ笑んでそう言うあたし。


しかし、お母さんは少し複雑そうな表情を浮かべた。


「そう……」
< 104 / 289 >

この作品をシェア

pagetop