蟲狩り少女
振り向くことはできなかったけれど、三岳友輝はそう言って鼻で笑ったんだ。


始業式の時もそうやって誰かを見て笑っていた。


嫌な予感が胸をよぎる。


だけど今はなにも出来ない。


なにかをする手立てがない。


なにも……。


なにも、起こりませんように。


あたしはただ、そう願うしかなかったのだった。
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