蟲狩り少女
マナー違反
海の家に到着するとあたしはまたホッと息をはきだした。


ここまで引き離しておけば、きっと大丈夫だ。


「あら、おかえり」


伯父さんや叔母さんと話をしていたお母さんが、こちらに気が付いてそう言った。


「ただいま」


「随分遊んできたわね。みんな肌が真っ黒よ」


そう言われて初めて日焼けしていることに気が付いた。


そんなに時間が立っているとは思わなかったけれど、改めて外を見てみると陽は傾きかけている。


「また日焼けしちゃった」


夕花ちゃんがそう言い、表情をゆがめる。


「日焼けしたくないの?」


「ある程度までだったらいいんだけれど、あまり黒すぎるのも可愛くないでしょ?」
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